X線回折測定によって格子緩和率を求める方法

X線回折を用いると、 (004)面回折および(115)面回折における回折曲線の基板と成長層のピークの 相対的角度差を調べることにより、 成長方向の格子定数 a および成長面内の格子定数 a// が分かる。 ただし、基板と成長層の格子定数が異なるため成長層は歪を受けて図1 のようになるため、 実際に測定される相対的角度差は、 次式で表される(004)面と(115)面との成す角 θ0 と ブラッグ反射角 θB の差である。
θ0 = tan-1[{(√2) a} / (5a//)]
θB = sin-1[λ / {(√2) a// sinθ0}]
基板および成長層において、 (004)面と(115)面の成す角をそれぞれ θ0 sub、 θ0 epi、 ブラッグ反射角をそれぞれ θB sub、 θB epi とすると、 実際に測定される(115)面回折における基板と成長層のピークの相対的角度差 Δθ は
Δθ = (θB epi - θB sub) - (θ0 epi - θ0 sub)
で表される。 これらの式から解析的に a// を求めることはできないので、 計算機を用いて解いる。
このようにして求めた a および a// から 基板がない場合の成長層の格子定数 a0 が次式によって与えられる。
a0 = (a + ρ a//) / (1 + ρ)
ただし、 ρ (= 2 C12 / C11) は成長層のポアソン比である。
a//、 a0 および基板の格子定数 asub を用いて、 格子緩和率 R が次式によって与えられる。
R = (a// - asub) / (a0 - asub)
格子緩和率は基板と成長層の格子定数の違いによって生じる歪が どの程度緩和しているかを表わしており、 小さいほど結晶性がよいと言える。


図1: 歪を考慮した(115)面回折

GaAs基板上のZnMgSSeについて計算してみよう。

角度はX線の入射角度(例えば110方向を0°とする)、 Δθは成長膜のピークから基板のピークを引いた値(単位は秒)です。
なお、成長膜が傾いている場合を考慮してあります。 考慮しない場合は各角度からの値を同一にして下さい。

(004) Δθ (0°) [arcsec]
(004) Δθ (90°) [arcsec]
(004) Δθ (180°) [arcsec]
(004) Δθ (270°) [arcsec]
(115) Δθ (0°) [arcsec]
(115) Δθ (90°) [arcsec]